焼酎造り物語

大分県、日田の山に麦に魅せられた男たちがいる。
寛政元年の創業以来、その伝統技法を守り続け、
ひたむきに麦焼酎を造り続けた男たちだ。
旨い麦焼酎は、まず旨い麦から。麦が実る大地の名は「大鶴」。
この大鶴の麦があってこそ、味わいのある麦焼酎「閻魔」がうまれた。
今日も、蔵人の情熱が旨い麦焼酎を醸し続けている。

麦海に浮かぶ老松酒造

「さぁ、長い旅が始まる」

麦の収穫シーズンが近づくと工場の周辺は黄金色に染まり、背後には無尽蔵な伏流水を抱える日田の山々が押し迫る。こんな環境の中で老松酒造は麦焼酎を造り続ける。きっとこの土地には酒造りの神が宿っているのだろう。閻魔がじっと見届けているこの大地の名は大鶴。縁起の良い名である。
やがてこの大地から収穫された麦は精麦工場で精麦され外皮を落としさらに磨き上げ麦焼酎の仕込みに使われる。小野はその麦を手に取りどんな麦焼酎になるか胸をはずませる。いろいろな麦がある。でも造る焼酎は閻魔。
長い旅の始まりである。

新麦との出会い

「こいつはよく水をすうぞ」

精麦工場から麦がとどいた。早速仕込みの開始だ。新麦だから良く水を吸うだろう。彼はつぶやいた。浸漬時間は25分かな?今年は麦の処理設備は新しくしたのでちょっと不安顔であったが機械に手をかけた瞬間、いつもの自分 にもどって麦を洗い始めた。

麹造り

「思わず微笑むほど良い出来だ!」

ちょうど良い浸漬だった。しばらく麦に給水のひと時を与え次に蒸しを行う。新鋭の蒸機であるが、今日は手動でじっくり蒸す。この経験を元にやがて自動で蒸すことになるわけだ。今が大事だ。

麦を蒸すこと約2時間。はじめの蒸機にしては上出来だと思いながら放冷を行う。38℃まで蒸機を回転しながらゆっくり麦を冷却する。これは自動で行ってみた。ジャスト38℃で冷却がとまった。なかなか良い機械だ。感心しながらドラムのドアを開けた種麹を散布する。良い麹になれと念じながら小野は無心にドラム口で操作を行う。きっと2日後には良い麹ができるはずだ。それから2日後の朝、麹ドラムのファンが唸った。いよいよ出麹である。ちょうど良く麹が冷えていよいよ麹を取り出すことになった。搬出口から麹を取り出した小野の顔が微笑んだ。良い麹だった。

仕込み

「うん、力強い発酵だ!」

今年から新しい仕込みタンクである。完成した麹を1次醗酵タンクに投入する。酵母を添加しいよいよ神事の始まりである。焼酎閻魔の神が宿り醗酵が始まる。
2次発行を続ける事さらに10日間。もろみが完熟した。力強い醗酵であった。約17日間元気よくもろみは醗酵し、美味しそうな香りを放ちながら蒸留を待つこととなった。新しいタンクも使いやすく、思いどおりに醗酵させることができた。蒸留が楽しみだ。

蒸留

「ここは何度やっても奥深い」

キーンと蒸留機の真空ポンプの音がし始めた。蒸気もシャーと音を出し蒸留釜を加熱し始めた。いよいよ蒸留の始まりだ。一日2回の蒸留があるため、工場の朝は早い。ここでは女性が主役である。女性の繊細さと男性にない丁寧さが蒸留操作にはうってつけだ。意外に単純そうな作業は男性は弱い。けっして蒸留は単純でなくすごく奥深い工程である。
俺が決め、それを忠実に守ってくれるのは女性のほうがいいだろう。力はいらない。必要なことは、正確な操作、香り、味への繊細さである。

貯蔵前

「こいつに後化粧は似合わない」

出来上がった閻魔の原酒。蔵の中に住んでいる閻魔の魂がこの一滴一滴に溶け込み出来があった原酒。そっと冷やしフーゼル油という焼酎成分を取り除く。まろやかな癖のない焼酎をつくるには必要な工程である。
軽くろ過を行い。ちょっと荒々しいこの焼酎の味を調える。これから3年以上熟成する為には大事な工程である。3年後そのまま飲めるよう考え作業を行うのである。長期熟成した焼酎に後化粧は似合わない。

熟成

「やることはすべてやった。あとは待つだけ」

味香りが整った閻魔原酒はステンレスタンクで軽く調熟したあとホワトオークの樽で長い熟成の旅にでる。3~5年。結構長い時間である。この間じっくり成長した閻魔はやがて熟成され。最高の香りと味を持つ焼酎へと変化していくのである。

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